画面のあまりの美しさに暴走
■向日葵
カシャン、とフェンスが揺れた。
どうしても、進めないその先。
手の伸ばせない場所に、金色に輝く花が咲いている。
日の光を一身に浴びて、あでやかに咲き誇る大輪の花。
「・・・なんで、手に入らないんだろう」
ただ、南で、ゆっくりとしたいだけなのに。
皆と仲良くしたいだけなのに。
フェンスの先、凍てつく大地のその先に。
金の花が咲いている。
―― 花言葉「憧れ」
■薔薇
「いたたた・・・」
大丈夫?というように、ふわりと小さな薔薇が囲んだ。
小さな彼を守るように囲むそれにトゲはない。
「ん。大丈夫」
頭は痛いけれど、それよりもっと気になることがあった。
金の髪と青い瞳の男。
日差しの中、恐ろしく綺麗だった。
「誰なんだろ・・・」
逃げ出してきてしまったが、その姿が心に焼きついてはなれない。
小さくため息をつけば、さやさやと、ものを言わぬ花たちが笑ったようだった。
―― とげのない薔薇の蕾は、「まだウブでとても怖い」と囁いた。
■牡丹
「ふぅん?見事あるな」
さしだされた大輪の花に目を細めて笑う。
「あまりに綺麗に咲いたので・・・思わず貴方を思い出してしまいました」
「我か」
「ええ」
そ、と鉢が差し出されるがままに、受け取って、はて、と首をかしげる。
「・・・思ったとおり、よくお似合いです」
滅多に見せなくなった、素の笑顔で微笑まれれば悪い気などするはずもなく。
「謝々」
短く礼をいって微笑を返す。
美しきは、花か、国か。
―― 花言葉は「王者の風格」
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