にょた英でなく日英を書くのははじめて・・・っ
日英むずかしいよ、日英
「へぇ、日本の気候は随分幅広い」
沖縄へとバカンスにきたイギリスは、普段のかちりとしたスーツや軍服と違って随分とラフな格好だった。
Tシャツの襟ぐりからのぞく鎖骨、ハーフパンツから伸びた足は、普段日に晒されていないせいで真っ白だ。
日焼け止めを塗らないと真っ赤になってしまいそうだな、と思いつつ、とりあえず何も言わないことにする。
別宅にたどり着いたときに言えばいいことだ。
二人、てくてくと、ギラギラ光る太陽の下、小道を歩く。
北海道よりさらに北緯に存在するイギリスは南の暑さに慣れていない。
早くも、その首筋には汗が流れ、キラリと光っていた。
「イギリスさん、もうすぐつきますので。そうしたら、冷たいお飲み物でもお出ししましょう」
「あぁ、頼む」
そういって微笑むイギリスは、常より随分と素直だ。
いきなり沖縄に遊びにいってもいいか、発言といい、普段よりも随分と弱ってるらしい雰囲気といい、日本はある仮説を立てたが、やはり何も言ず心の中で押しとどめる。
日本の別宅で、休憩をとり。
十分な水分と、日焼け止めの準備をして二人は海へ繰り出した。
夕暮れの小道を、二人、並んで歩く。
「日本は温帯だと思ってたんだが、随分と南国的だ」
「基本的に温帯に区分されますが、北は冷帯、南は亜熱帯に入りますね」
ニコニコと楽しげに笑うイギリスが、それでもどこか無理をしているようで、日本の心は痛んだ。
まったくあの男は何をしているのか。
「まさかマングローブまであるとは思わなかったぞ」
「よく言われます」
「あぁ、ハイビスカスまで・・・」
ふと足を止めたイギリスの指が、道端の大輪の花に触れる。
「イギリスさん」
「ん・・・?」
「ハイビスカスの花言葉、ご存知ですか?」
「なにをいまさら。お前に花言葉の存在を教えたのは俺だろう?」
くつくつと笑うイギリスはその意味をわかっていない。
「では」
プチリと、赤き花をもぎ取り、イギリスに差し出す。
「日本・・・?」
「さしあげます」
にこりと笑えば、彼は戸惑ったように眉をしかめた。
「・・・『繊細な美』や『勇ましさ』も示しますが・・・」
そ、とその髪に赤い花を差し込む。
日本より背の高い彼だが、その童顔と、美しい金の髪に、大輪の花はよく似合っていた。
「『新しい恋』、の申し込みですよ」
くすりと笑っえば、彼の顔は夕焼けに負けぬほど真っ赤になっていた。
「急ぎません。ゆっくり心の整理をしてください。そのために此処にきたのでしょう?」
そ、と手を握って歩き出せは、少しの戸惑いの後彼がついてくる気配がした。
「ただ、甘えたいときはもっと素直に甘えてください。気にせずに」
そのためにハイビスカスをあなたに預けましょう。
暫くの間の後、「ありがとう」と小さく呟いた声が聞こえて、日本は返事として握る手に力を込めた。
PR