困ったときの花言葉。
今回はあけび。
「随分とかわいい花だな」
「あぁ、あけびですねー」
「AKEBI?」
「はい。果物ですよ。秋にまた来てくだされば、食べることができます」
「そうか、機会があったらきたいな」
「では、お互い忘れないように」
小さな花を一輪ふわりとその手に落とした。
その本当の意味は告げず。
「約束ですよ?」
にこりと微笑めば、彼もまた嬉しそうにうなずく。
それだけで十分。
小さな小さな約束。
イギリスの手の内で、小さな花が唯一の恋を囁いていることを、彼は知らない。
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「こ、これがあけびか?」
「ええ。見た目はわるいですが・・・こうやって食べます。ちなみに、すっごい美味しいわけでもないです」
「・・・」
「どうぞ?」
「・・・・。たしかに、味は・・・美味いわけじゃない、が」
「が?」
「なんだか、安心する味だな。どことなく懐かしい」
「それはよかった」
「・・・来年も、来てもいいか?」
「! ええ、よろこんで」
小さな小さな約束は何度も繰り返される。
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