セフレ仏英。
本番してます・・・が、たいしたことない罠。
もとネタはUさんとMさんの会話inU様宅仏英絵茶から。
きっかけも、始まりはいつだったのかもおもいだせない。
ただ。
「イングランド」
たった一度だけ落とされた、吐息交じりの甘い声を。
覚えている。
*
*
・
「なー、今夜行ってもいい?」
最近甘えッコが多くてさー。お兄さん疲れちゃった。
いや、それも可愛いけど、たまにはスパイスが欲しいッつーか、殺伐したいかんじなんだよね、いま。
いつものことだが、ぺらぺらとよく喋る口だ、とイギリスは腐れ縁を半眼で見返した。
銃を突っ込んでやりたい衝動を抑えながら、「カウな」と一言答える。
それで、夜の予定は決まり。
「お前、そればっかな」
「マグナム突っ込こまれたいか」
軽口から本気の喧嘩もいつもどおり。
フランスの作る夕食は時間がかかるから(仕込みが丁寧なんだ、とは本人の談だ)、そのまま家に向かうのもいつもどおり。
お前の家の冷蔵庫は貧相だ、と店に寄って手伝わされるのもいつもどおり。
「どうよ、新作。食感面白いだろ」
「もうちょっと硬いほうがいい」
「わがままな・・・」
イギリスに感想を求めたところで、まったく参考にならないのはわかっているだろうに、新しい料理を作っては食べさせるのもいつもどおり。
なんのためにしているのか、さっぱりわからないが、次に出てくるときはイギリス好みに手が加えられているのは料理人魂だろう。
簡単なつまみとともに酒を飲んで。風呂に入って。寝室に向かった後の行動もいつもどおりだ。
「お前、シャンプー変えた?」
「いいアロマが手に入ったからな。前のがちょうどなくなったところだったし」
「うげ、コレお前の手作りだったのか」
「るせぇよ、お前も同じ匂いとか、マジきもい」
「それはこっちのセリフ」
「ひとんちの使っておきながら・・・なら、自分ちのやつ持って来い」
軽口を叩きながら、服を脱がしあうのもいつもどおり。
しかし、何気なくいった一言を最後に、首筋に顔を埋めていたフランスの動きが止まった。
「どうした、年か?」
鼻先で笑えば、軽口の代わりに深々としたため息。
「・・・お前、意味もわからずそういうこと言うんじゃないよ」
「ぁ?だから、年でヘタレてるんだろ」
「そっちじゃない」
まぁ、俺が悪いんだけどね。とブチブチ呟く声が気になって、フランスの顔を見ようと首をねじったところで、首筋に痛みが走った。
「ってー!てめ」
「あ、ごめーん。おにいさん、年だから加減わかんなくて★」
「咬むなーっ」
すんならキスマークにしろよ、と言いかけてあわてて口をつぐむ。
そんなことを口走った暁にはどれだけバカにされるかわかったものではない。
「ごめん、て」
噛まれた痕に舌が這う。
ぞわり、と背筋が震えるのは、こういう行為が随分久々であるからであって、決してフランスに感じたわけじゃない。
低く笑ったフランスに、そう返せば、
「あーもう。お前ほんとバカ」
と苦笑交じりの声が返ってきた。
その顔に苦々しいものを感じて、胸が痛くなるとか気のせいだ。
「お前の方がバカだろうが」
「そういう意味じゃないって、何度同じ会話すんのよ、俺たち」
「いつもだろ」
「まぁな」
からりと笑う声に、さっきの苦笑いはやはり気のせいだったかと思い直す。
「期待されてるみたいだし、お兄さんがんばっちゃおうかなー」
なにを、と言いかけて、するりとわき腹を降りた手に声が止まる。
「俺とだけしか、してないってことだろー?」
お前、友達だけじゃなくて、セフレとか恋人もいないのな、と笑み交じりの声に「る、せぇよ・・・っ」と返せば、「はいはい。煩い口はとじちゃおうね」と深く口付けられる。
「っ・・・」
この、腐れエロ親父・・・っ と内心罵ろうが、残念ながら相手には伝わらない。
慣れきった手が、体を這い回る感触を、きつく目を瞑ってやり過ごす。
「ほんと、ごうじょうなー・・・」
「だれ、が、お前、なんか、に」
簡単に飛び出しそうになるエロい声を抑えて毒づけば、フランスが笑う。
「じゃぁ、手伝ってやるよ」
シュルリと目に撒かれたのはなんなのか。
わからないが、とにかく目隠しされたのはわかった。
「て、め・・・!」
「好きだろー、目隠し」
あぁ、ニヨニヨと笑う気配が、すごくむかつく・・・っ
頭突きを食らわしてやろうと、体を起こしても、いともたやすく避けられ、逆に体がいいように動かされる。
「気持ちよくしてやるよ」
耳元に囁かれた声に鳥肌がたったとか、腰にキたとか、そういうのは、目隠しされているせいだ。
股間のモノを握る手だとか、胸を舐める舌だとか。
そういうのに、声が出そうになるのも、やっぱり目隠しされているせいだ。
「・・・っふ」
あぁむかつく。むかつく。むかつく。
どれだけ罵ろうとも、口を開けば出したくもない声が出ることはわかってるから、心中に収めておくしかできず。
余計にフラストレーションが溜まるというものだ。
終わったら殴る、と心に決めて、股間から這い上がる刺激に必死で耐える。
ぞわりぞわり、と這い上がるそれに俯けば、首に舌が這った。
「声、出せよ」
出すか、ばかやろう。
内なる声が聞こえたわけでもないだろうが、フランスが苦笑した気配を感じる。
「なら、鳴かせるしかねーな」
「っ! ふ・・・ぅ・・・っ」
弱い鈴口を撫でなれ、腰が震えるが止められない。
ばかばかばかばか、ばか。
自身より感じるところをわかってる男の指が、イギリスを追い詰める。
「・・・ふ、・・・・ぁっ」
最後の瞬間、押さえ切れなかった甘いあえぎがこぼれて落ちた。
くちゅくちゅと、下から聞こえる音。
いつもは感じないそのささやかな音を、視覚が使えないぶん鋭敏になった聴覚が捕らえる。
羞恥に、頭がパニックになりかけたところで、指が引き抜かれる。
「・・・も、いいか?」
(なんで、そんなに切羽詰った声してんだよ)
これだから、嫌なのだ。目隠しは。
気づかなくていいこと、気づきたくないことに気づいてしまう。
欲されてるなんて、勘違いをしてしまいそうになる。
「・・・途中で折れんなよ、ヘタレ」
「は。こんな状況でへらず口が叩けるとか、ほんと」
続いた言葉は、一息に貫かれた衝動で聞き逃したが、どうせ海賊とか元ヤンだのだろう。
るせぇよ、ヘタレめ、と内心毒づいて、どうしても慣れない挿入時の感覚をやり過ごす。
「っは・・・・は・・・」
震える息を吐き出し、呼吸を整える間、フランスは動かない。
些細な気遣いに気づいたのはいつだったか。
そうして、今。頭をなでる手に気づいた。
なんで、俺にも甘くするんだよ。
惰性だろうとはわかっていても期待したくなる。
「動くぞ」
囁く声に甘さを感じるとか。余計なことを考えてしまう自分に、イギリスは泣きたくなった。
それも、グ、と突き上げられる感覚に霧散する。
「っぁ!」
「・・・ぃーこえ」
思わず上がった声に、とろけた声が耳に注ぎ込まれる。
「や、め・・・」
やめろ、そんな声だすな。
「やっぱ、目を隠すと感じる・・・?」
低く笑う声に、お前のせいだと泣き喚きたくなる。
お前がそんな甘い声を出すから。
「ひ、ぁ・・・!」
グリ、とイイところを突き上げられて、声を隠すこともできず悲鳴を上げる。
「あ、あ・・・っ あっ」
自分がどんな体制をとっているのかも、どれほどエロい声を出しているのかもわからない。
いつも握りしめてるシーツもわからず、ただ目の前の男にすがりついた。
「いぎりす」
甘い声。
囁かれる名前。
「ふ、らん、す・・・っ」
耐え切れずに名前を呼べば、男が息を呑んだのが、体を伝わってわかった。
いきなり激しくなった動きに、なにも考えることができず、ただただ泣いた。
*
。
・
「・・・なぁ。」
「ぁー?ほれ、水?」
「ん。なぁ、お前、あれなんのクセ?」
「クセ?」
「イくとき、絶対人の耳ふさぐだろ」
「・・・あー・・・・そう?」
「自覚なしか」
「自覚あったらクセじゃないだろ」
「・・・まぁな」
僅かでも、特別なのかも と思った自分を殺したい衝動に蓋をした。
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