■spadeさんの絵茶での会話より。
どうして、こうなった?
目の前の男を呆然と見詰めながらイギリスはおもう。
いつもの変態ぶりで、ニヨニヨ笑っているだけのはずの男が、気づいたら、自分の服をとりあげていた。
「ふら、んす・・・?」
「ばかだなぁ、おまえ」
なんでお前が苦笑いなんだよ。
そんなつっこみは、口内で消える。
口付けをうけたからだ。
「ばかだなぁ、そんなかっこで俺に会いきちゃうなんて」
軽く歌うような口ぶりとは逆に、目は笑っていない。
「ばか、よせ・・・!」
「やだ」
ぐい、と押さえつけられて、その力の強さに体が震えた。
誰だ、これは。
喧嘩しているときとも違う、こんな表情の男、みたことがない。
「フランス・・・っ」
「やだって。煽ったお前が悪い」
さわり、と胴をなでる手が、この後の行動をにおわせて、イギリスは狼狽した。
他者と交わりを持てば天使としての力は消える――そう妖精と約束したのだ。
やめろ、ともう一度叫ぼうとして、それはフランスに飲み込まれる。
「お前にもう何百年も惚れ続けてる男に、こんな格好でくるお前がばかなんだ」
「・・・っ」
フランスのその言葉が真実かはわからない。
それでも、体から力が抜けた。
妖精との契約より、嘘か真かわからない睦言を選ぶ自分が浅ましい。
「ち・・・うっせーよ、ハゲ。なら、せいぜい、気持ちよくさせろよ」
挑発するようにいってあざ笑う。
たとえ、不可思議な力が消えたとしても。
この男との睦言を選ぶおろかな自分を。
あざ笑った。
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