■ハーフエルフ設定
ハーフエルフのため、エルフにくらべて力が劣る設定です*
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「歌えって・・・・?俺、成体じゃないし・・・うまくは歌えないぞ?」
それでも、なお『うたって』『うたって』と囁く声はやまない。
イギリスは苦く笑って、エルフの歌を記憶から呼び起こした。
正式にならったわけではない。ただそれでも、耳に覚えている。
あれは、大人のエルフの歌だから、女の音程にしろ男の音程にしろかすれて声が出ない部分がある。
それでも、イギリスはたどたどしく歌い始めた。
人間の争いの余波によって、傷つけられた大地のために。
***
「――うた?」
「この声・・・・イギリス・・・か?」
やわらかく、響いてくる歌声に、ヴェネチアーノが顔をあげる。
風に乗ってというよりは、空に溶けて響いてくる優しく甘い声。
いつもの仏頂面とはつながらなくて、ドイツが首をかしげた。
「エルフの――歌ですね、たぶん」
オーストリアが空を見ながら、つぶやいた。その指は、カツカツとテーブルを打っている。
「あ、オーストリアさん・・・」
ハンガリーが何事かを言いかけた瞬間、
「あぁもう、なんでそこで音程が狂うんですかっ
そもそも、自分の音域と歌の音域があっていない!」
と、息も荒く、バイオリンをつかんで、テントの外へと出て行くオーストリアがいた。
「ちょ、まてオーストリア!あいつは・・・っ」
「あ、オーストリアさん、私も行きます♪」
照れ屋だから、近づいたら歌うのをやめるぞ、といいかけたドイツの声にかぶるように
ハンガリーの嬉々とした声が響いた。
「わーい、俺も行くー♪」
「う゛ぇねちあーの・・・」
もはや、この暴走集団をとめる術はない。
すまない、と心のうちでドイツはつぶやいた。
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