カイコさんのお宅で描かれた、素敵タキシード仮面(仏)と、セーラーブリタニカより。
カ オ ス
「に、日本・・・」
「はーい、イギリスさん照れないで、もうちょっと擦り寄ってくださいね」
監督日本は、いつもの温和な様子からはかけ離れて、いっそ恐ろしい。
逆らう気力もうせて、ほんの僅か隣の男に近寄った。
***
どうしてこうなったのか。
もはや思い出すのも疲れることで、イギリスは考えることを放棄した。
現実も見たくはない。
セーラーは海軍の服装だとは言え、何故こんなにもぴったりしているうえノースリーブなのか。
そしてツケ毛なのか。さらにいうなら・・・いやもはや考えまい。
「そんなに照れんなよ」
そりゃぁ、お前は単品なら普通の格好だからな。
蹴り倒して踏みつけてやりたい衝動を抑えて、毒づくにとどめる(日本が怖いから)。
「お前最初嫌がってたくせに、ノってんじゃねぇよ」
「そりゃお前とひっつくとか超いやだけど。お前のその嫌そうな顔みるのも楽しくなってきてなー」
あぁ、やっぱり蹴り飛ばそうか。
す、と腰に回ってきた手に怖気を感じ、なけなしの抵抗で男の胸に手を当てれば、
「あ、いいですね、その体勢!」
監督から鶴の一声が飛んだ。
違う、違うんだ日本。これは・・・
「イギリスさん、手に力入れちゃだめですからね!」
きっぱりと力強く否定されれば、諾々と従うしか道はない。
「ばかだなぁ」
くっくっくと耳元で笑い声が響いた。
あぁ、どうしてこうも無駄に美声なんだろうか。
ゾワリとはしった怖気を振り払って小声で抗議する。
「顔、ちかづけんじゃねぇよっ」
「え~?」
あぁ、ニヨニヨとしたその顔面を踏み潰してやりたい。
そう思えど、「フランスさん素敵ですっ」の声に行動に移すこともできず。
この場に味方はいないのか、とただ絶望しただけだった。
カオスな写真撮影会は、イギリスの羞恥心がリミッターをはずすまで続くことになる。
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「フランス、ノってんなー」
「普段、ああやって触れられんからやろ」
「あぁなるほどな」
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