Aさん&Hさん合同開催絵茶で描かれていたかわいいハムスターsに惹かれるがままに書いたもの。
ご本人様に連絡が取る手段がないという罠が存在しているorz
ハムsを描かれた方へ
事後承諾をもとめる形でごめんなさい。
下ろせ、と一言いただけましたらすぐさま下ろさせていただきます。
イギリスとアメリカがハムスターになった。
―― ファンタジー国家め
悩む間すらなく満場一致で漂った空気に、キーキーと不満の声を上げたのは栗色のハムスター。
「うるせぇよ、イギリス。原因おまえだろ」
フランスが突きつけた指に、一瞬のためらいのあとガブリとかぶりつく。
即座に噛み付かず、いちいち躊躇いを見せるあたり、芸が細かい・・・と、ドイツはどうでもいいことを考えた。
理論で説明できない不可思議な現象すぎて、頭が追いついていないのだ。
そんな彼を置き去りにして、やたらと馴染んでいるフランスは、ハムスターと喧嘩を繰り広げている。
噛み付きざま、振り払われる前に手を駆け上り、首やら頬やらにガシガシと噛み付いていくハムスター。
大きさからして勝利は確実と思われたフランスはすっかり翻弄されている。
「あのプニハム・・・かなりの手だれだ」と誰かが呟いた。
実にどうでもいい。
「あー・・・とにかく、世界会議は一時保留するしかない・・・な」
ズキズキと痛み出したこめかみを押さえて呟く。
できることならもっと生産性のある提案をしたいものだが、もはや常識の範囲を超えすぎていて、思いついたのがそれだけだった。
「そうですね・・・。アメリカさん、イギリスさん、の主要国のお二人がこれだと話が進みませんし」
苦笑う日本の手の中では金毛のハムスターが暴れている。
会食に出されていた弁当(の、肉)に頭を突っ込んでいたところを、取り押さえたのだ。
もとは人間・・・より特殊な国という存在であろうと、現在はハムスターである。賢明な判断だ。
ところかまわず走り回り、フランスを翻弄する、栗毛。
現状などかまわず食に走る金毛。
「イギリスといい、アメリカといい・・・言葉は理解するようだが、いくぶん本能に忠実になってる、か?」
「「「「「いつもこんなもんだ(です)」」」」」
ああ、たしかに、と思わず納得してしまったドイツであった。
*
* *
「とりあえず、一日様子を見よう」という結論という名の先送りのもと、問題に上がったのは誰が2匹の面倒をみるのか、ということであったが、それは「私が」と申し出た日本によって解消された。
賞賛の眼差しを浴びながらも奢ることなく「友人ですから」と微笑む日本が、内心(きっといいネタになるでしょう)と考えてることなど誰も知らない。
なお、「え。僕が預かるよ」とにこやかにいったロシアは全力で阻止された。
「イギリスさん、アメリカさん、どうぞ」
差し出した向日葵の種を大事そうにかかえて、イギハム(命名、日本)はぺこりとおじぎをした。
かわいいなぁ、と思う横で、アメハムはそんなもの食べられるか、とばかりにそっぽを向いている。
すっとこどっこいが。
うっかり強く握っても不幸な事故ですよね、と内心考えた日本に気づいたのか否か、イギハムがぺしりとアメハムを叩く。
キュイキュイとなにかを言い合っているが、さすがの日本もハムスターの言葉などわからない。
噛み合いになったら止めることにして、パシャパシャと写真をとっていたら、結果は決別したのか、二匹はふいと顔をそむけあった。
(おやおや・・・)
アメハムはたったかこたつの上を走り、器用にテレビのリモコンを操作し、テレビをうつした。
残されたイギハムは、心なしかしょんぼりしている。
よしよしと、その背中をなでれば、甘えるように首をこすり付けてくる様が可愛らしい。
「ドイツさんのいったことはあながちまちがいではないかもしれませんね・・・」
普段のイギリスならばありえない行動に、思わずひとりごちる。
「キュ?」
「なんでもありませんよ」
つぶらな瞳で、日本をみあげ、小首を傾げるハムスター・・・・イギリスに変換すれば、たちまちオタクの萌えへと変換される。
小動物化、いける・・・!と内心ガッツポーズをとりつつ、片手でデジカメを取り上げたところで、「キュ!」と威嚇の声が上がった。
慌てて声のもとへ視線をむければ、アメハムである。
彼はゲーム機のそばで、キュキュキュと喚きたてていた。
おたんこなすが。
ゲーム機を起動しろということだろうと、読みたくもない空気を読んで、持ち上げたくもない尻を上げる。
ちらりと卓上のイギリスに目をやれば、彼は、与えられた住処(横倒しにした箱に毛布をつめただけの簡易的なものだが、居心地はよくした。それをイギリスはきちんと理解している)に戻るところだった。
(・・・やれやれ)
キュキュキュとけたたましく騒ぎ立てるハムスターを踏み潰したい衝動に駆られながら、ゲーム機を起動する。
「でも、アメリカさん。どのゲームやるつもりです?さすがにゲームパッドの操作は無理じゃないですか?」
「!」
してやったり。
固まったアメハムに溜飲を飲み干す。
しかし、彼はめげなかった。
「キュ!」
その小さな手が指し示した先は、シュミレーションゲーム。
「・・・ミニゲームは、私にやれと」
「キュ」
満足げに小さい頭を動かす様はひどく可愛らしいが、踏み潰したい衝動を禁じえない日本だった。
さんざん遊び倒したアメハムは、満足したのか、のそのそとコタツの上にあるベッドへと足を向けた。
けれど、何故かふいに止まった動きに、日本はゲーム機の片付けをやめて覗き込んだ。
やわらかなクッションに埋もれ、丸まって眠っているイギハム。
ど真ん中ではなく、左にずれた位置にいるのがいじらしい。
「・・・どうするんですか?アメリカさん」
濁さず「他にベッド用意して欲しいですか?」とはっきり告げれば、彼はのそりと動きを再開し、もぞもぞとイギリスの横にもぐりこんだ。
本当に、素直じゃない。
真のツンデレは、イギリスではなくアメリカだろう。
わざわざイギリスに寄り添って丸まる姿は、微笑を誘う。
毛布代わりを探してこようと、腰を上げつつ、こういうわかりづらい萌えも重要だ、とネタストックに追加することを忘れない日本だった。
日本がかぶせたピンクのリネンの隙間から、頭を抜き出す。
横を見れば、クゥクゥと寝息をたてるイギリス。
飽きず見つめていれば、ふるりと彼の瞼が震えた。
(ぁ・・・)
ゆるりとひらいた瞼の奥、芽吹く翠。
イギリスよりも早く起きた朝は、彼の寝顔を見つめながらこの瞬間を待っていたことを思い出す。
不思議と素直な気持ちになって、
「ごめん」
気づいたときにはあやまっていた。
きょとりと、イギリスの目が丸くなって。
くしゃりと、その顔がわらった。
「ん。俺も、いいすぎた」
小さな手がアメリカの頭をなでるが、苛立つことなく享受する。
なんだかおかしくなって、ふたりくすくすと笑った。
ふわりと心が温かくなって、いつのまにか近寄ってきていた甘い眠りが二人を包みこんだ。
「おやすみ」
そっとささやきあう。
リネンの下、手をつないで。
二人、眠る。
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