Uさんに、若仏×子英くださいといわれるがままに書いて押し付けたもの。
きっとご本人は冗談のつもりだったと思う(゚∀。)
そこは緑に覆われた、小さな小さな祭壇だった。
イギリスは国である。
国であるから、どんなに小さかろうと、王に仕えなくてはならない。
だから、基本的に城で過ごしているのだが、時折暇をもらっては、森に遊びに来ていた。
ごたごたとあわただしい生活のなかで、妖精たちと過ごすひと時が、小さなイングランドの唯一の癒しだ。
その日、久方ぶりに森をおとずれたイングランドを妖精たちは喜んで迎えた。
「ひさしぶり。え?おもしろいところ?」
くいくいと腕を引く妖精たちに誘われ、イングランドがたどり着いたのは、森の奥の小さな空き地。
ポカリと開いた空間の中ほどに苔むした祭壇があった。
時期は春。
空き地を覆う緑の絨毯は色とりどりの花で飾られていて、酷く綺麗だ。
「わぁ・・・っ綺麗だな・・・・!」
運悪く太陽は曇に覆われているが、花たちがイングランドを歓迎してくれることが感じられて、それがとても嬉しい。
「ありがとうっ」
緑の絨毯の上で、妖精たちと笑いあって。
人に近しいイングランドの気配におびえることなく近づいてきた動物たちとぬくもりをわかちあって。
そろそろ太陽が真上にくるという時刻だった。
「―― 誰かいるのか?」
若い男の声が聞こえて、ガサリと緑の壁が割れた。
同時に、雲が割れ、光が降り注ぐ。まるで、かの男のためであるかのように。
きらきらと光を寄り合わせたかのような金の髪。
晴れ渡った空色の瞳。
やわらかな丸みを残す頬は、ばら色でなめらかそうだった。
金に縁取られた赤のビロードの服が酷く似合っていて、まるで王侯貴族のような気品を漂わせている。
「・・・おまえ、国、か?」
イングランドをみとめ小首を傾げる動きを認めてなお、自分と同じく生きている存在だと信じがたい。
それほど美しく。
それほど気高く。
ゆらりとゆれる花の中、イングランドは彼に心奪われた。
「・・・消去してえええええ」
うっかり過去を思い出してしまったイギリスは、頭を抱えた。
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
なにが恥ずかしいって、そのときの心臓の高鳴りまで思い出してしまったことだ。
目の前には変態に育った酔っ払いがいるというのにだ。
「ぁー、くそ」
よりによって、この腐れ縁相手にあんな感情を抱いてしまうなど、一生の不覚である。
なにもしらないウブな子供だったとはいえ・・・いや、だったからこその一目惚れ。
それが恋情だったのか、崇拝だったのか、それはもう思い出せないけれど。
「死にたい・・・」
つぶれた酔っ払いのとなり、イギリスもまた、テーブルに顔をふせた。
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