■実はにょた 設定
拍手で頂いたお題に沿って書いたものの、お蔵入りしてたもの。
にょたい絵茶週間&来客の多さに、暇つぶし用に出してみる。
細かいことを気にせず ノ リ でお読みください
あれはやはり気の違えだったのではないか。
二つの【ドイツ】が統一され、体力も随分回復してきたころ、ドイツはふとそんなことを考えた。
あれ、とは、イギリスを女と思ったことである。
喰うか喰われるかのあのギリギリの刹那、なぜかドイツはイギリスが女性であると感じたのだ。
理由も理屈もないドイツらしからぬその直感を、何故か彼は信じ、事実として受け止めていた。
我ながら信じられないことだが、そう感じるのだから仕方がない。
たとえ敵対していようが、心底気に喰わない奴だろうが、国としての情報戦ならばともかく、一個人が隠そうとしていることを暴き広めたてるのはドイツの誇りに反した。
相手が女の性を持つのであるならば、なおのこと。
だから、誰にも、イギリスが女性(かもしれない)であることを告げずにきたのだが――・・・
(考えれば考えるほど納得がいかない)
普通は、注意してみれば納得行く部分が垣間見れたりするものではないだろうか。
むろんドイツとて、年がら年中イギリスを観察しているわけでもなし、その胸一つの秘密としてはきたものの、実際のところ、戦中戦後のゴタゴタで、思い出したのはつい最近のことだ。
だから、確実なデータとはいいがたいが。
―― 見事なほどに、女にはみえんな。
たしかに欧米の中では童顔だし小柄で華奢だが、それはただたんに成長途中ゆえのものに見えた。
なにより性格がいけない。
いけ好かない女の性格、ではなく、いけ好かない男の性格だ。
アメリカに対しても女々しい【男】としか見えなかった。
やはり、気の迷いだったか。
そう結論づけたのは、昼の世界会議。
そして夜。
ホストである日本の名物【温泉】で会議の疲れを癒やし、日本料理に舌包みを打つ。
キンと冷えたビールが美味い。
皆が浮かれ騒ぐなか、一人遅れて湯船につかりに行ったのはイギリスだった。
会議後、上司との打ち合わせに長引いたらしい。
「ヴェ~。イギリスいいなぁ、温泉独り占めだね!」
のんきなイタリアの言葉に、ニヤリとフランスが笑う。
「上司との打ち合わせ、ねぇ…。あいつ、ただたんに貧相な体見せたくなかっただけじゃねぇか?」
ニヨニヨと笑う男に、ドイツは呆れた。
どうして、こうもイギリスにつっかかるのか。
嫌いならば、気持ちよく酔ったときこそ、忘れていればいいのに。
「あいつ、第1回オリンピックんとき剥いてやって以来、ぜってぇ他人の前で裸体さらさなくなったからな」
第1回オリンピック非参加国であるドイツには預かり知らないことだが、嫌いだと公言して憚らないイギリスに対しても、セクハラをかましたことがあったのかと、物珍しく思う。
「なんやお前、オリンピックでなにやっとんの~」
「オリンピックつったら裸体だろ裸体。ダサい格好してたから剥いてやっただけだよ」
「―― それで、なんとおっしゃったのですか?」
「ん?貧弱とか貧相とか」
日本が苦く笑うのが見えた。
たしかにあのプライドの高いイギリスならば、フランスの前で脱ぐ機会は極力さけるだろう。
「ガキ臭い顔だし、剥けてなかったりしてな~」
よし、見に行ってみるか。
ニヨリと笑う男に何人かの酔っぱらいが悪のりをした。
いけ好かない元大英帝国をからかうチャンスといったところか。
案の定、イギリスには頭の上がらないイタリアも便乗している。
どうする?止めるか?
ちらりと日本をみれば、彼は苦く笑って首を振る。
「酔っぱらいの勢いは止められませんよ。ただいざという時に強行阻止できるように、私たちも行きましょう」
そうだな、とうなずいて、奴らの後を追った。
チリチリと、よからぬ感が騒ぎ立てていたが、被害者は男で加害者は酔っ払い。
そう大事にはならないと、判断していた。
「本当に申し訳ない」
「力付くでも止めるべきでした」
深々と頭を下げるドイツと日本である。二人の前には、半ばあきれた顔のイギリス。
「や、不可抗力だろ。気にするな。大方フランスが周りをそそのかしたに決まってる」
さすがに長いつきあいである。
だが、そうだからといって騎士道を重んじるヨーロッパの男と日本男児にそれは通じない。
「しかし、俺は知っていたのに………」
本人の許しもなく、裸の女人を晒すなどあってはならないことだ。
「当時はともかく、ここしばらく疑ってただろ、お前」
「…」
「そうしむけたのは俺だしな。酔っぱらいを止めるには弱い」
「すまない……」
「だから……あーもうわかったよ、こういえばいいのか!?あの時他国に口外しないでもらえて感謝しているって!」
なにをいわれているのかピンとこなかったドイツだが、真っ赤な顔のイギリスを認識してようやく、あの戦中のことをいっているのだと理解した。
「礼を言われることでは……」
「るせぇなっ
とやかくいうんじゃねぇよ!これでおあいこだろっ」
違うだろう。
そうは思ったものの、男としてそれは口に出すべきではないと(おぼろげながら)感じ取り、ただ「わかった」とだけ頷けば、目の前の顔がほっとしたように綻んで。
あぁ、守らなくては
なんて、すんなり感じた自分に気づく。
イタリアに対するそれとも違う庇護欲に、やはり相手は女性なのだと今更ながらに認識した。
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お蔵入り原因
剥いててなお女と気づかないのに、風呂場なら気づくのか
二次成長を迎えてない子供体型とすると、イギリスさん子供すぎ
なんとなく、全体的に気に入らない
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