■召還士設定
イギリスは人前で肌を晒さない、その理由
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イギリスは、人前で体を晒すことを極端に嫌う。
本人がそういったわけでも、あからさまな行動をとったわけでもない。
けれど、川での水浴びも一人別なときにし(全員が無防備になってどうするというのが理由だ)、宿にとまるときでも、決して浴場の方へこようとはしない。
たいして金のあるとはいえないパーティでは、二人一部屋、トイレと風呂は共同のものという宿が精一杯だから(酷いときには大部屋で雑魚寝だ。ただ追われる身とあって、より安い、知らない輩との相部屋だけは避けている)、真夜中に入りに行ってるのか、部屋で体を拭いているのかのどちらかだろう。
魔術師という性質上、なにか呪術的な理由があるのかもしれないと、だれもそれを深く追求しようとはしなかった。
唯一気にしそうなイタリアは、そもそもイギリスの行動自体に気づいていない。
ゆったりと風呂に入れないのは気の毒なことだ、とフランスは思ったが、彼と相部屋になるたび、あえて長く部屋に戻らないように過ごすことで、それにたいする理解を示した。
そして、今日。
宿の好意で、上質の部屋に泊まることができ、うまい食事にもありつけた。
なぜそうなったかといえば、偶然宿の娘を助けただの、いろいろあるのだが、旨い食事とゆったりしたベッドに、もう理由はいらなかった。
大浴場でゆっくり風呂に入り、さらには月見酒を楽しんだフランスはほろ酔い気分で、部屋に戻っていた。
普段の暗黙の了解が頭から消えていたのは、酒のせいでもあり、昼間僅かに見えたイギリスの腕にあったのかもしれない。
ギィと扉をあければ、少し疲れたイギリスの顔と、いまだぬれた裸体が光の下にあった。
全身に・・・少なくとも、フランスの目にはいる体のいたるところに、刺青が施されていた。
それは、魔方陣に浮かび上がる呪字に似ていて、そのすさまじさに思わず息を呑む。
「・・・今日は、はやいんだな」
振り返ったイギリスは、驚いた顔をしていたが、すぐに苦笑いへと表情をかえる。
らしくない、と思った。
その、穏やかにもみえる、苦い笑いは。
触れてはいけないものに触れてしまったことに気づいたが、もうどうしようもなくて、フランスは軽く「おう」とだけ答えた。
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ひとめみたときから、烏賊さんの召還士英のとりこ(*´д`)
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