私は、今夜の絵茶で暴走しすぎだと思う・・・。
目の前で、イギリスの体が傾ぐのが見えたから、思わず手を差し伸べた。
ドサ
「あ・・・わ、るい」
「こけたのか、具合が悪いのかどっちだい」
抱きかかえたまま、目の前の耳に訪ねれば、「グ」と息が詰まった音がした。
こけた、とかいうきまりの悪さと、具合が悪いと素直に言うことの戸惑いは、彼にとって同列らしい。
まったく、と思いつつ、態勢を立て直しやすいよう深く抱えなおして、ふと気づいた。
「あれ・・・?」
「どうした?」
するりと、彼の体がアメリカの腕から抜け出し、その足で床を踏みしめても、アメリカの頭は混乱していた。
「アメリカ?どうした、お前こそ、具合が悪いんじゃないか?」
心配げに顔を覗き込んでくるイギリスは、昔保護者だったときそのままの顔で。
はたり、とアメリカは我を取り戻す。
「君の体があんまり貧弱すぎてびっくりしただけさ★」
「て、め・・・!」
いとも簡単に激昂するあたり、保護者の顔から素の表情に変わる。
その瞬間がアメリカは好きだった。
「ほら、君の部下がよんでるよ」
「ち、おぼえておけよ」
足早に立ち去る姿に不安はないから、さっきのはきっと躓いただけなのだろうと判断して、アメリカはひとつ息を吐き出した。
イギリスの姿が見えなくなったところで近くの壁によりかかれば、ずるりと背中が滑った。
「・・・いつのまに」
いつのまに、あんなに小さくなったんだろう。
呟いた言葉は空に消え、誰にも届かない。
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