■悪友絵茶の素敵仏に萌えてホスト妄想
普=ホスト
西=バーテン
仏=ホスト
ホストクラブの内部なんぞさっぱりなのでノリで読んでください。
そして例によって例のごとく、仏英風味。
■普と西
少し、飲まされすぎたようだ。
ほろ酔いの自分を自覚しつつ、プロイセンは備え付けのバーへ足を運ぶ。
夜は長いのだから、そうそう酔ってもいられない。
「スペイン、水ー」
「んー?ほれ」
さんきゅ、と礼を言って冷えた水を飲み込む。
「っはー」
「珍しいやん?お前が水とか」
「ぁー、ちょっとペース狂った」
「ほうか。まだまだ長いし気ぃつけーよ」
「ん」
バーに寄りかかりつつ、ぼんやり店を眺めた。
本当は他の客のアシストにいかねばならないところだが、正直女と絡みたい気分ではない。
それに、やたらと仲のよい(風を装っている)ホスト連中が絡んでいるところを楽しみにくる客もいることを、その優秀な頭脳は理解していたから、スペインにちょっかいを出すことで、仕事とする。
「あー金ないわー」
キュワキュワとグラスを磨きつつぼやくバーテンを眺め、お前も表にでりゃいいのに、と思う。
「お前、それなりに給料もらってんじゃねーの?」
「子供養うのには金がかかるんですー」
なるほど。
スペインの養い子である、いじっぱりを思い出す。
子供がいるからこそ、彼はホストとして表には出てこないこともだ。
「俺もちょっと懐さびしいしなー・・・今度あれにおごらせるか」
「そやね」
あれ、とは視線の先にいる、きらびやかな笑顔を振りまいている男のことだ。
店のナンバー2でもある彼に多少たかったところで、たいしてその懐に打撃を与えないだろうことは理解していた。
「今度はなんていってお願いしよかなー」
「あー、だいじだいじ。俺、あいつの弱み知ってるから」
へぇ?と興味深げに眺めてくるスペインを無視して、もう一人のバーテンの方に目を走らせる。
ばっちりと目が合って、彼が気まずげに視線をそらす・・・どころか睨んでくるのをニヨニヨ笑って流した。
「聞いて驚け。恋愛の、弱みだ」
ほー、あいつが?と面白げなスペインと、絶句してグラスを取り落としかけたバーテンに満足して、
「じゃ、俺は戻るなー」
プロイセンは、彼を待つお嬢様方のもとへと足をすすめた。
■普と英
「なに、らしくなくため息ついてんの?」
ほつりこぼれたため息を聞きとがめて、声をかければ、珍しくこちらの気配に気づいてなかったらしいイギリスがビクリと体をこわばらせる。
「な、なにがだよ」
「ため息」
もらうぞ、と、隣のグラスを持ち上げウーロン茶を注ぐ。
一日の終わりの一杯。
世間では朝だとか、人は一日の終わりに酒を飲むものだとか、そういう『普通』とはかけ離れた生活を思いやって自然、ため息がでかけるがそれは自制する。
そもそもイギリスがついたため息の種類はこれとは類が異なることを知っていた。
「俺の言ってたの気になるわけ?」
こぼれかけたため息の変わりに、ニヨリと笑えばうろんげな視線が突き刺さった。
「べつに」
ふい、と視線をそらせて、後片付けに意識を向けた男に、あーあ、と思う。
「あーぁ」
「けんか売ってんのか」
意識して声にだせば、簡単に挑発にのってくるあたりかわいげがある、とプロイセンは内心思っているが、これは声に出したらいろいろな面でまずいので自粛。
「つかさー」
「プロイセン、飯食いにいくんだろ」
続けようとした言葉は、不機嫌な男の声でさえぎられ途切れる。
おー、きたよきたよ、と苦笑いつつ振り向けば予想に違わず、スーツを着崩したNO.2がいた。
「はいはい。じゃ、イギリスおつかれー」
「おう、おつかれ」
フランスはなにも言わない。ただくるりときびすを返してその場を後にする。
背後から、苦々しいため息が落ちた気配がしたが、今度はそれを聞きとがめず、プロイセンもフランスの後を追った。
お互い、ほんと素直じゃない、と思いながら。
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